【本・作品紹介】変な家2 11の間取り図

趣味

(画像引用先:飛鳥新社

今回は、以前紹介させていただいた作品の続編である「変な家2 11の間取り図」について紹介させていただきます。謎のお面作家が書き綴った本格ミステリー作品である本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!

変な家2 ~11の間取り図~

新品価格
¥1,485から
(2025/4/9 17:45時点)

 

作品

本作は2023年12月に出版された作品で、作者は雨穴(うけつ)さんです。この方はウェブライターとして活動されており、後にYouTuberとしてもデビューしています。投稿する動画内で謎のお面をかぶり、奇妙奇天烈な内容のものから本格ミステリーな物語等、人の目を引く動画ばかりを投稿し話題になりました。

本作は続編にあたる作品で、一作目である「変な家」は2021年に出版され、コミック化や映画化といった数々の偉業を成し遂げています。詳しくは過去の記事よりご確認ください。

そして、本作も負けず劣らずの人気っぷりを誇っており、2024年日本で一番売れた本として年間ベストセラー第一位に輝いています。

【本・作品紹介】変な家
今回は、映画公開間近に迫った作品「変な家」を紹介しています。不動産ミステリーという新しいジャンルを確立させた今作の魅力を、ネタバレを極力避けて記載しているので、ご興味があれば是非ご覧ください。

 

あらすじ

本作を書き綴った「筆者」はフリーライターで、2年前に書いた作品である「変な家」で大きな反響を呼んだ人物である。そのことをきっかけに、様々な方から「家」にまつわるおかしな体験や奇妙な間取りの話等、多くの情報が提供されるようなったと筆者は話す。

その中から、何かつながりがあるように感じた11の家の関する資料をまとめたのが本作にあたる「変な家2」である。資料には筆者が現地で行ったインタビュー内容や、参考にした資料や文献等の情報が記載されており、最後に筆者の知人である栗原という男と共に本件をまとめた内容がつづられていた。

しかし、筆者達が資料を頼りにたどり着いた答えは、恐ろしくもどこか不可解な結末で…

 

感想

間接的につながりを見せるストーリーと違和感

本作は一見、何の関係も無い物語を複数書いてまとめた短編集のような構成をしていますが、実は一つの物語になっており、そこへ導くための伏線の数々に違和感を覚えさせられます

11個の物語が語られる本作ですが、どのお話も家や間取りを主軸に置いた内容になっています。同じ場所や同じ時間で物語が進行するものはなく、何も知らずに読むと短編集にしか思えません。

しかし、読み進めていくと、とある違和感に気づきます。

「あれ?この部分、さっきも見なかったっけ?」

全く関係のない話のはずなのに、前の話で読んだものと「同じ内容」もしくは「同じ言葉」がところどころに出てくるのです。例えるなら、一つ目の話で登場したAさんという人物が、3つ目の話で「Aさん」という名前だけが登場するような感じです。

間接的に登場させているので、読者も「見たことあるような…」という感じで気づけそうで気づけなさそうな絶妙な違和感を感じさせられます。これこそが、本作の醍醐味です。この違和感に気づき、物語を読み返して「これのことか!」と気づいたときの爽快感はたまりません。非常にスッキリします。

それだけでなく、私のような読書初心者でも違和感に気づかせてくれるレベルのものが多いので、ミステリー系が苦手な方でも理解しやすいつくりになっている点も評価が高いです。少し過激な表現もあるのでオススメしませんが、お子様でも読んで理解できる内容だと思いました。そういった内容の簡易さが、年間ベストセラー第一位につながったのではないでしょうか。

 

本作のアイドル栗原さん、100ページを超える怒涛の推理ショーを披露する

本ブログで何度か紹介しているこのシリーズのアイドルこと「栗原さん」が、例外なく本作にも登場します。

今回も筆者と共に謎を読み解いて推理していくのですが、巻末近くの約150ページ程を使ってまとめと自身の推理を披露してくれます。ここが本作の答え合わせにあたる部分で、これまでに気づけなかった内容に気づけたり、これまでの資料をまとめたページを読むことが出来るので、非常に重要な部分であること分かります。

そんな重要な場面で我こそはと登場し、自身の推理を筆者と読者に披露してくれるのですが、語られる内容は全て栗原さんの推理で思い描いた仮説のはずなのに、根拠を明確に示してくるので真実味のある話になっていくのが本当に怖いです。その内容も中々怖くて…。こういったところは相変わらずだなと思う反面、栗原さんらしさを感じられてテンションが上がりました。

推理以外にも嬉しいところはあります。淡々と恐ろしい推理を説明してくれる栗原さんですが、ストーブとエアコンを同時に稼働させるほど寒がりという一面を見せてくれます。些細なことではりますが、私のような栗原ファンであれば見逃せない一文であったことは間違いないでしょう。

淡々と怖い仮説を語れてしまう栗原さんでも、寒がりという人間っぽさを持ち合わせていたんだと、ファンを微笑ましくさせてくれる栗原さんには脱帽せざる負えません。

 

どこかスッキリしないラスト

最後に物語のまとめと栗原さんの推理が拝める本作ですが、それら全てを読み終わっても全くスッキリしません。むしろモヤモヤします

雨穴さんの作品の特徴として、釈然としない結末というものがります。物語は終わったようで実は終わっていない、尾を引く後味の悪さ等、一筋縄ではいかないラストが読者に待ち構えています。

そして、そのどれもが内容は明確で、「物語は終わっていないのか…」、「後味悪いな…」と読者に認識させやすいものばかりでした。それに対し本作は、他の作品と違って結末の内容が不明確になっています。

例えると、「Aさんが事件を起こしたかのように思えたが、実はBが犯人だった」では無く、「Aさんは事件に対して無関係だった」という感じです。後者の場合、Aさんが犯人ではないことはわかりましたが、事件の犯人は一体だれなのか?という疑問が浮かび上がります。

さらに、それについて言及することもなく、そのまま終わりを迎えることになります。つまり、明確な答えのない問題を読者に投げかけた状態で物語が幕を閉じてしまうのです。そんな状態で結末を迎えているわけですから、読み終わってから調べてみると、ブログや動画で様々な考察がされていました。それほどまでにハッキリさせたいラストだったということです。

読み終わってから違和感のあった場所を読み返して、自分なりに結論付けようとしてみましたが、答えが出せずに未だにモヤモヤしています。もし、既に読み終えて自分なりの答えを見出せた方がいらっしゃったら、是非教えてください。

 

まとめ

シリーズで類を見ない不明確な結末を迎えたベストセラー作品「変な家2 11の間取り図」いかがでしたでしょうか。

あまりの不明確さに、思わずブログや動画の考察を見てしまう本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。様々な考察が各所でされていましたので、本作を読んでモヤモヤしているか方は読んだ方が良いかもしれませんね。

他にも、シリーズのアイドルこと栗原さんも登場して活躍しています。最後の最後に怒涛の推理ショーを展開してくれるので、そちらも見逃せません。作中での伏線のはり方も絶妙で、最後の推理で分かりやすくまとめられているので、ミステリーが得意ではない方でも読みやすい作品になっています。気になる方は是非本作を読んでみて下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました。

映画版 変な家

新品価格
¥2,000から
(2025/4/9 17:46時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました