(画像引用先:Amazon)
今回は、今年映画公開で話題になった大ヒット漫画「チェンソーマン」を紹介します。作者・藤本タツキワールド全開の本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!
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作品
本作は2019年から週刊少年ジャンプで掲載され始めた作品で、作者は藤本タツキさんです。
第一部の公安編が2021年まで週刊少年ジャンプで掲載され、2022年7月から第二部である学園編が少年ジャンプ+で連載されています。
この頃から作品に対する人気もすさまじく、漫画は累計発行部数が3000万部を突破(2024年12月時点)しています。
その影響もあり、2022年にはアニメ化もしており、今年の9月には続編にあたる「レゼ編」が劇場公開されました。
作者である藤本タツキさんの作品はこれだけでなく、映画化もしている「ルックバック」、文明崩壊後の世界を描いた「ファイアパンチ」等、他の作品もいくつか手掛けています。
興味のある方はそちらもご覧ください。

あらすじ
両親が残した借金返済の為、借金取りの下でデビルハンターを請け負っていた少年デンジは、パートナーである悪魔のポチタと共に、日々、悪魔を殺してその日暮らしの生活を送っていた。
そんなある日、借金取りの組織がゾンビの悪魔によって壊滅してしまい、デンジとポチタはゾンビになった組員達に襲われてしまう。
薄れゆく意識の中、瀕死のデンジにポチタは問う。
「これは契約だ。私の心臓をやるから、代わりにデンジの夢を私にも見せてくれ。」
気が付くと周りにポチタはおらず、その状況に契約が成立してしまったことを自覚するデンジ。
そして、胸についた紐を引き、チェンソーの力を宿したチェンソーマンへと姿を変え、ゾンビ達とゾンビの悪魔を撃退することに成功する。
ポチタの仇をとって満身創痍のデンジだったが、休む間も無いうちに一人の女性が現れる。
彼女の名前はマキマ。公安に所属するデビルハンターだ。
辺りの状況を確認した後、マキマはデンジに拒否権皆無の公安への加入を持ち掛け、半ば強制的に公安へ加入することに。
このマキマとの出会いが自身の人生を大きく左右することを、この時のデンジには知る由もない…
感想
少年誌ギリギリのポップなグロテスク作品
本作の作風は少しクセが強く、グロテスクな表現が多い割にポップな感じで描かれているところが特徴的です。
一般的な作品だと、人体の損傷やキャラクターの死亡について描く時は、ギャグ漫画でもない限りシリアスな空気感で事態の重さを出すのが定石です。
しかし、本作はシリアス感が微塵もなく、事の重大さが全然伝わってきません。
それどころか、読んでいる内に感覚が麻痺してきて、「生き死にってそんなに重たくないんだな」と思えてしまうほどポップに描かれています。
あまりにもポップすぎて生死が日常的になってしまい、話の内容によっては次から次へと人が死んでいきます。
故に、いつ・誰が・どのような状況になるのかが全く予想できません。
ページを開けば、開く前のページの内容と関係ないところで誰かが死んでいる…なんてこともあります。
これによって生み出される緊張感と、他では中々味わえないポップな表現方法が読んでいる内にクセになり、読み進める手が止まらなくなるのです。
他作品との差別化もできていますし、この作品でなければ味わえない感覚も持ち合わせているところも考えると、何故人気になったのか分かるような気します。
ただ、ポップすぎて伝わりづらいですけどグロテスクな表現や内容はあるので、苦手な方は注意してください。
漫画史を揺るがす超鬱展開
本作には、見ていない方でもご存知なレベルで認知度の高い超鬱展開が含まれており、読者を憂鬱にさせてきます。
個人的には読んだ作品の中でも一、二を争うレベルだと思っています。
まず、この鬱展開に関わってくるのが、主人公であるデンジの上司にあたる早川アキです。
彼は幼い頃、銃の悪魔に家族を殺されており、その復讐を果たすために公安に入りました。
そして、他の悪魔を追ううちに見つかる銃の悪魔の痕跡をたどりながら、日々の仕事を全うしていきます。
そんな彼ですが、第一部の中盤辺りで敵にボコボコにされてしまい、契約していた悪魔の力が使えなくなった為、新たに未来の悪魔と契約をすることになります。
契約に必要な代償を決める為、未来の悪魔はアキの未来を覗くことになるのですが……。
まさか、ここでのやり取りが後に訪れる超鬱展開の伏線になっていて、読者の考察欲を刺激しつつ、鬱要素を倍増させているシーンになるとは微塵も思いませんでした。
そして、後に訪れるアキの「未来」が本当に悲惨で、読んだ後の数分間は放心状態になります。
「作者はアキに恨みでもあるのか?」と言いたくなるぐらいの内容です。
さらに、内容だけでも鬱なのに、その過程で散りばめていた伏線や細かな設定、物語の運び方といった様々な要素が組み合わさり、鬱展開を超鬱展開へとランクアップさせているので、読んだだけで心身ともに疲弊します。
ただ、読者にそこまでの精神的ダメージを負わせるということは、読者を物語に没入させる程作りこまれた内容ということでもあります。
この作りこまれた内容によって生み出された利点が、本作では鬱要素を倍増させる要因として作用したということです。
正直、鬱要素に作用したところは何とも言えませんが、作りこみで物語の完成度を上げている点については素晴らしいと言わざるを得ません。
物語の完成度を見たい方は、是非最初から読んでみて下さい。
藤本タツキさんの独特な絵柄
作りこまれた内容や、他作品では見ないポップ表現と描写。他にも良い点がたくさんある本作ですが、一点、個人的に気になったところがあります。
それは、作者である藤本タツキさんの絵柄です。
比較的シンプルな絵柄で、アクションシーン等の迫力のある絵はわかりやすくてとても素晴らしいのですが、たまに芸術的で難解なページが登場することがあります。
特に、第一部の後半に登場する悪魔達の能力発動シーンが非常に難解でした。
今は何が起きていて、これから何が起ころうとしているのか。誰が死んで、誰が殺されようとしているのか。この辺りの内容が少々分かりづらく、理解するのに苦労します。
そこ以外にも、キャラクターが倒される描写があっさりしすぎるあまり、「え?今のページで死んだの?」とキャラクターが退場したかどうかの判断がつきづらいところも難点です。
これは前の項目で説明した「生死がポップに描かれている点」に関係しており、芸術的で素晴らしいと思う反面、ポップすぎて事態の重さを理解しづらく、内容が頭に入ってこないという問題が発生します。
それ故に、作品から退場したどうかの事実確認がしずらいのです。
これらの要素は作品を読み返していくごとに徐々に慣れてくるのですが、新規で読み始める方にとっては読みづらさを感じてしまうかもしれません。
しかし、芸術的な面で見れば、私のような素人目線でも絵の凄さが伝わる程素晴らしい出来だと思います。
類を見ない描写と絵柄、そして藤本タツキさんの独特な世界観。画集や展示会があれば、間違いなく足を運びたくなると思います。
そういった面でも楽しめるので、漫画ではなく絵に興味のある人も読んでみるのもいいかもしれません。
まとめ
独特な絵柄と世界観に賛否分かれそうな人気作「チェンソーマン」いかがでしたでしょうか。
他の作品では味わえない、ポップでグロテスクな描写が評判の本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。
アニメ化や映画化もする程の人気っぷりを見せる本作ですが、藤本タツキさんのクセのある絵柄や超鬱展開の含まれた物語等、人を選ぶ作品でもあるので、読む際はご注意ください。
ただ、一度ハマると何度も読み返してしまう程面白い作品なので、是非一度読んでみて下さい。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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