(画像引用先:映画.com)
今回は、今年9月に公開された話題作「劇場版チェンソーマン レゼ篇」をレビューします。公開から約半月が経過しても話題が尽きない本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!
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作品
本作は2025年9月19日から映画館で公開されている作品で、監督は𠮷原達矢さんです。
𠮷原さんは以前にも数々の作品を手掛けており、「モンスター娘のいる日常」や「ブラッククローバー」等でも監督を務めていました。
声優はアニメ版から引き継続き戸谷菊之介さん、坂田将吾さんやファイルーズあいさんがメインキャラクターを務めており、アニメを見ていた方からしても違和感のない構成になっています。
そして、本作初登場となるキャラクターのレゼ役に抜擢されたのは、ガンダムやプリキュアといった有名作品にも出演している上田麗奈さんです。作中ではたぐいまれなる演技力でレゼの声を演じきっていました。
他にも、作中で流れる楽曲を米津玄師さん・宇多田ヒカルさん・マキシマムザホルモンが担当していることや、公開から半月で興行収入が35.8億円を突破したこと等、話題が尽きない作品となっています。
あらすじ
悪魔が実在していることを当たり前に認知されている世界。
そこでは、人類を蹂躙する悪魔と人類を守るデビルハンターとの熾烈な戦いが繰り広げられていた。
そして、政府公認である公安の組織内にもデビルハンターを全うしている部隊があり、その一員である主人公・デンジは、とある雨の日に一人の少女と出会う。
少女は自身の名前をレゼと話し、レゼのアルバイト先である喫茶店へデンジを招待する。
可愛い女の子に目がないデンジは、招待されるがままに喫茶店へ出向くが、距離感の近いレゼの態度に恋心を抱き始める。
それからも足しげく喫茶店へ通い、彼女との会話を楽しんでいたデンジに、レゼから「夜の学校へ行こう」と提案される。
学校へ行ったことの無かったデンジは、レゼが行くならと提案を承諾し、彼女の通う学校へ行くことになるが…
少年少女の甘く、はかなく、血みどろでグロテスクな青春が、今始まる。
感想※ネタバレ注意
前半:少年と少女によるひと夏の青春物語
本作は物語が2部構成になっており、前半と後半で内容が大きく変わります。
まず、前半についてですが、こちらは若人達の青春を描いた内容になっています。
内容も王道な感じで、主人公が突如現れた美少女と恋に落ちるといういたってシンプルなものです。
しかし、原作を手掛けた藤本タツキさんが描く「青春もの」は構成が素晴らしく、シンプルな内容でも見ている者の心をつかんできます。さすが「ルックバック」の原作者といったところでしょうか。
本作でもその構成力は発揮されており、出会いと仲良くなるまでの流れから、最後に訪れる2人の恋の行方まで、違和感を感じることなく見ることが出来ます。
それでいて見せ方も非常に上手で、レゼの仕草の細かさや、それを見たデンジが本気で恋に落ちていく描写の丁寧さには圧巻されました。
「こんなことされたら誰だって恋に落ちる!」と言わんばかりの青春っぷりに、見ているこちらまで頬が赤くなります。
そして、前半の最後を飾る2人の青春シーンは、視聴者の心を締め付ける切ない内容で感情を揺さぶられます。正直、ここで終わっても文句はなかったと思います。
ただ、この前半部分だけでも十分に物語として申し分ない出来なのですが、そこは藤本タツキ先生、青春大一番だけでは終わらせてくれません。
ここから物語が大きく傾きます。
後半:視聴者に優しいド迫力バトル、開幕!
後半は前半と打って変わって、ド迫力なバトルシーンのオンパレードです。
大まかな内容ですが、デンジの心臓を狙うボム(爆弾の悪魔)が現れて執拗にデンジ達を追いかけまわし、最後にはチェンソーマンに変身したデンジと戦うという流れです。
まず言わせていただきたいのが、ここでの戦闘シーンがとにかく凄いということです。
建物や車は次から次へと爆破され、ボムとチェンソーマンの戦いに巻き込まれた住民たちが次々と犠牲になり、挙句の果てには台風の悪魔も登場して、場がかつてないレベルで荒らされていきます。
そんな凄まじいことが画面内で起きているにも関わらず、戦闘描写が見ている人にもしっかり伝わるよう、丁寧に描かれていました。
爆散して飛び散る破片ですら丁寧に描かれており、破片の飛び散り方や勢いの描写が分かりやすくて、画面内で起きている戦闘の凄まじさを見事に表現しています。
もちろん、素晴らしいのは描写だけではありません。
戦闘時の音響は視聴者に迫力を伝えるだけでなく、「画面内で何が起きているか」を説明する役割も果たしており、戦闘シーンを視聴者に理解させやすい環境を作っています。
例えばボムの戦闘描写の際、「爆弾の導火線に火が付いて爆発する」という連想をさせやすい音が使われており、攻撃方法が「爆弾」であることを強調しています。
これによりボムの性質や個性が「爆弾」であることを視聴者に意識させることができますし、荒れた画面の中で「今はボムが攻撃している」ということを分かりやすく教えてくれます。
このように、本作はド迫力でありながらも音や描写で状況を分かりやすく説明してくれるので、視聴に余計なストレスがかかりません。そういった意味では、視聴者に寄り添った優しい作品だと言えるでしょう。
心にしこりを残すようなラスト
前の項目で「視聴者に寄り添った優しい作品」と言いましたが、それは作品の音や描写といったハード面のお話で、内容については全く優しくありません。
詳しく書くと作品の良さを損なう可能性があるので避けますが、「あぁ…そういえば藤本タツキさん原作の作品でしたね…」ていう感じのラストです。
作中で生きるキャラクターに対し、微塵も愛着を持っていないかのような結末をたどらせる藤本タツキさんの作品であることを視聴者に思い出させてくれます。
あまりの内容に、SNSではファン達による結末を捻じ曲げたIF作品やファンアートが次々と投稿されている始末です。
逆に言えば、それだけ視聴者に愛着を持たせられる程の力量が本作にはあったということなので、出来栄えとしては申し分ないと思います。
ただ、原作を知らずに見てしまったり、藤本タツキさんの作品をご存じでない方が見た場合は、トラウマになるかもしれません。該当する方はご注意ください。
そして、原作を知っている人からすると、作品を忠実に描かれていることが分かるので嬉しくもあり、内容を知っているので見る前から少し鬱になっていたりと、どう転んでも救いがないです。
これだけ人々の感情を揺さぶる作品はそうそう無いですし、そんな作品を手掛けられた原作者や本作の監督、その他関係者の凄さが嫌というほど伝わってきます。
感情を揺さぶられたい方は、是非本作を視聴してみて下さい。
まとめ
視聴者の感情を揺さぶりに揺さぶってくる大ヒット作「劇場版チェンソーマン レゼ篇」いかがでしたでしょうか。
丁寧な構成に視聴者に対する優しさを感じつつも、一切救いのない内容に突き放される本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。
こちらの作品はアニメ版の続編にあたりますので、そちらを先に見て世界観を理解してからご覧いただくことをオススメします。
また、Amazonprimeでアニメ版の総集編(前編・後編)もご覧いただけますので、気になる方はそちらもチェックしてみて下さい。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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