(画像引用先:双葉社HP)
今回は、謎の覆面ウェブライター雨穴さんが手掛けた二作目の作品「変な絵」を紹介いたします。『変な家』で大ヒットを記録した後、少し方向性を変えたミステリー作品として出版された今作の魅力について記載させていただきます。是非ご覧ください!
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作品
今作は、2021年に「変な家」を手掛けた著者・雨穴さんによる二作目の作品で、翌年2022年に出版されました。前作が大ヒットを記録しましたが、こちらも負けておらず、45万部を超える売り上げ記録をたたき出しました。
間取りをテーマにした前作とは異なり、今作は「絵」を主軸において物語が進行し、雨穴さん自身では初となる11万字書下ろしの長編小説です。前作の変な家についてと、雨穴さんの元の記事を載せているサイトは、それぞれ下記のページにて紹介しておりますので、そちらからご覧ください。


あらすじ
大学生の佐々木修平は、オカルトサークルの後輩である栗原から、とある不気味なブログについて話を聞かされる。気になった佐々木は、帰宅後に自宅のパソコンで検索をかけ、そのブログを開く。
ブログのタイトルは、『七篠レン 心の日記』。投稿内容を確認してみると夫婦の仲睦まじい日々の様子を投稿している普通のブログだ。しかし、数年前の投稿を最後に更新が途絶えている。最後の投稿を確認してみると、「今日で、このブログを更新するのをやめます。あの3枚の絵の秘密に気づいてしまったからです。」という冒頭から始まり、「あなたを許すことはできません。それでも、僕はあなたを愛し続けます。」という文章で締められている。
明らかに異様な投稿内容と、文中に出てきた「3枚の絵の秘密」。それは何を示すのか。そして、3枚の絵とは何なのか。物語の進行と同時に明かされる、それぞれの絵の秘密と悲劇的な過去を、読者は目の当たりすることになる…
感想

「絵」を主軸に進められるスケッチ・ミステリー
前作の不動産ミステリーとは打って変わって、今作は「絵」を主軸にしたスケッチ・ミステリーというジャンルの作品で、物語の展開の仕方が全く違います。「変な家」ではおかしな家の間取り図を中心に、主人公とキーマンの栗原さんが提唱する仮説をもとに物語が展開していきますが、「変な絵」では多数の登場人物達が次々と登場し、それぞれが関わる絵についての物語が展開されます。
関連性が無さそうな内容の物語が次から次へと語られるので、一貫性が無いように感じるのですが、読み進めると全ての物語がつながっていくことに気づきます。「さっきの話に出てなかった?」、「この絵…見たことある」等、徐々に伏線が回収され、関連性が見いだされるような書き方をされており、作風は間違いなく本格ミステリーといった感じで、個人的には「変な家」よりも面白かったです。
栗原さん、再臨
ブログで何度も紹介している栗原さんが、今作も登場します。それも、前作より過去の話になるので、登場するのは学生時代の栗原さんです。冒頭でいきなり出てくるので、結構ビックリしました。昔も今も変わらずミステリーオタクで、大人びた話し方でおぞましい仮説をスラスラ述べるところや、所属しているサークルもオカルトサークルという安定の栗原ムーブをかましてくれます。この頃からそんな感じだったのかと、栗原さんの過去を知れて満足できました。
しかし、今作での栗原さんの登場回数はそこまで多くなく、最初と最後の2回程しか登場していません。栗原ファンとしては少し残念に感じました…次回作に期待します。
何とも言えない結末…
本作の結末は、どちらかというとハッピーエンドの方向で絞められているようにも感じるのですが、どこかスッキリしない何とも言えない終わり方をしています。散々悲惨な物語が展開された後に、とてつもなく細い一筋の光を射すような終わり方といった感じでしょうか。
とにかくスッキリしないです。その感覚がいつの間にか余韻になっていて、私は眠れない夜を過ごすことになりました…前作もそうですが、雨穴さんの作品のラストはどれも完璧なハッピーエンドというものはなく、不穏な空気を漂わせたものばかりです。それが特徴であり、作品の魅力だと思います。ハッピーエンドが好みの方は苦手な分類かもしれませんが、バットエンドが好きな方には全力でオススメできます。
まとめ
何とも言えない終わり方をするスケッチ・ミステリー作品「変な絵」いかがでしたか?
雨穴さんは作品の締め方が特徴的なので、賛否両論あると思いますが、好きな方はドはまりする作品ばかりなので、怖いもの見たさで読んだら、いつの間にかファンになっていた…なんてこともあると思います。YouTubeでもいくつか動画があがっているので、本が苦手な方はそちらをご覧いただくことをオススメします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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