【本・作品紹介】近畿地方のある場所について

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(画像引用先:Amazon

今回は、今年に映画が公開されたことで話題になった話題作「近畿地方のある場所について」を紹介します。読めば読む程背筋が凍る感覚がクセになる本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!

近畿地方のある場所について

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作品

本作は2023年8月に出版された作品で、作者は背筋さんです。

元々は小説投稿サイト「カクヨム」に投稿されていた作品で、後にKADOKAWAより出版されました。

作者である背筋さんのデビュー作でもあり、その後も「口に関するアンケート」や「穢れた聖地巡礼」等の作品を世に生み出しています。

そんな背筋さんのデビュー作となった本作ですが、出版から2年後の2025年に映画化されており、SNS上でも大きな話題を呼びました。

映画公開後、文庫版でも出版されることになりますが、単行本とは内容が違っているので購入の際はご注意ください。

文庫版 近畿地方のある場所について
文庫「文庫版 近畿地方のある場所について」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。"新しい"情報をお持ちの方はご連絡ください。

 

あらすじ

「情報をお持ちの方はご連絡ください」

行方不明になった知人の情報を求めていると語る作者は、とある出版社のライターである。

知人が行方不明になる前、彼の初仕事として請け負っていた記事の制作を手伝っていたのだが、突然、行方が分からなくなったという。

記事の内容は、近畿地方のとある場所を拠点に発生する奇妙な現象の数々を取り上げたオカルト記事である。

記事制作の為、集められた取材記録や他社の記事の切り抜き等をもとに、奇妙な現象の解明を進めていたが、その過程で近畿地方にある山を起点に現象が発生していることが発覚する。

そこからさらに「近畿地方のある山」に関連する記事や取材記録を集めていくが…

 

 

「見つけてくださってありがとうございます。」

 

感想

モキュメンタリ―方式で展開する物語

本作は架空の取材記録や記事の切り抜きをもとに展開するモキュメンタリーホラー作品です

モキュメンタリーとは、ドキュメンタリーの手法を使って事実ではないフィクション作品をあたかも現実かのように見せる表現方法です。

そんなモキュメンタリー要素が非常に強く、本当にあったかのような錯覚をさせる程のリアリティーが本作にはありました。

要因としてあげられるのが、内容の8割を構成している架空の取材記録や記事の切り抜きのリアリティーにあるものと考えられます。

記事の切り抜きは何かの雑誌の一部を本当に切り取ったかのような文章をしており、取材記録も現実味のある内容で思わず背筋が凍ります。

さらに、現代において欠かせないSNSでの切り抜きも採用されており、ますます現実味をおびてくるのが恐ろしくて仕方ありません。

そして、寄せ集めで関連性の無い記録や記事の数々が、読み進めていくことで徐々につながり始めていくところが、面白いと同時に恐ろしさも感じられて良かったです。

それでいて内容が理解しやすく読みやすいというところも点数が高いです。難しい表現や言葉があまりなく、馴染みのあるSNSや雑誌の切り抜きの文章構成がとても読みやすく感じました。

似た作品でいうと、以前、本ブログで紹介させていただいた「変な家2」です。

「変な家」系統の作品が好きな方にはもってこいの作品だと思いますので、是非一度読んでみて下さい。

【本・作品紹介】変な家2 11の間取り図
今回は、以前紹介させていただいた作品の続編である「変な家2 11の間取り図」について紹介させていただきます。謎のお面作家が書き綴った本格ミステリー作品である本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!

 

バラバラな資料が繋がってくる怖さ

前の項目でも記載しましたが、本作を構成する取材記録や雑誌の切り抜き等の資料が、読み進めていくことで徐々に繋がっていきます

資料の内容は様々で、オカルトに関係のない浮気の取材記録、個人のブログの切り抜き、とある書籍の抜粋等、多種多様な資料が登場します。

どれもまったく関連性のないものに思えるのですが、章の途中途中で挟まれる登場人物達の推理編で関連性が見出されていくのです。

そして、どの資料も最後には「近畿地方のある場所」に関連していることが徐々に分かってくるところが本当にゾッとします。

中には関東地方の話もありましたが、別の資料を読んだときに「これも関連しているのか…」と分からされてしまい、思わず絶句しました。

読者の予想だにしないところからいきなり関連づけれらる感覚の、なんと恐ろしいことでしょうか。

例えると、視界の外からいきなり殴られたような感覚です。そんな感覚を読み終わるまで体験し続けることになるのです。

ただ途中から怖さを超えてしまい、得られるものが爽快感に変わってしまうのがネックです。

「ここでつながってしまうのか…」という恐ろしさから、「こことここでつながるのか!」という爽快感へ変わってしまうと、本来感じるはずだった恐怖感を味わえないからです。

逆に言えば、読者に爽快感をもたらすだけの構成力や文章力が本作には備わっているということです。そういったところから見ても、小説として実に素晴らしい作品だと思います。

 

謎の袋とじと開封のタイミング

本作には最後のぺージの後に袋とじが付いています

外見は真っ黒で、完全に開けないと中身を見ることは出来ません。如何にもヤバそうな匂いのする代物です。

そして、内容も予想通りでヤバいもののオンパレードでした。これまで読んで味わってきた「恐怖」の総まとめを見ているような気分になります。

しかし、このヤバさを理解するには本編を最後まで読み終える必要があり、読み始めや途中に読んでも「?」になってしまいます。

それが理由で最後の方に袋とじをつけているのでしょう。

なので、これから購入を検討されている方は読む前に袋とじを開封しないことを強くオススメします

買った時に気づいて先に開けたくなる気持ちは分かりますが、最後まで読みきってからご覧ください。

そうすれば、本作の怖さを十分に味わうことができるはずです。

 

まとめ

袋とじ付きの謎のホラー作品「近畿地方のある場所について」いかがでしたでしょうか。

リアリティーのある物語を展開するモキュメンタリー要素で怖さを倍増させている本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。

私は本作を読み終えてからの数日間、あまり眠れない日々を過ごしました。それぐらい怖かったです。

後、山や森が怖くなって、日常生活で視界に入れないようにしていました。皆さんはこうならないことを願います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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