(画像引用先:アニメハック)
今回は、アニメ版のエンディング曲で有名な作品「血界戦線」を紹介します。曲だけでなく、作品自体の内容も非常に素晴らしい作品なので、気になる方は是非ご覧ください!
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作品
本作は2008年にジャンプスクエアにて読み切りとして掲載された作品で、作者は内藤泰弘さんです。その後はタイトルを改めて連載が始まり、現在は3部作目が掲載されています。第1部と2部はそれぞれ単行本が各10巻、3部は1巻が発刊されています。
アニメ化もしている本作ですが、一期のエンディング曲「シュガーソングとビターステップ(ユニゾンスクエアガーデン)」が絶大な人気を得ていることもあり、どちらかというと曲の方が有名になっている作品でもあります。実際、アニメをあまり見ない方でも知っている方が多く見受けられる程の知名度がありました。
あらすじ
現代のニューヨークを呑み込み、突如現れた異空間「ヘルサレムズ・ロッド」。そこは、現世と異界が交わった霧の町で、人間と異界の民が住む無法地帯である。そんな場所で暗躍する秘密結社「ライブラ」は、世界の均衡を保つ為、ヘルサレムズ・ロッドの治安を守っていた。
そんなある日、レオナルド・ウォッチという少年を手違いで組織のアジトに招いてしまう。しかし、彼にはライブラに合わなくてはいけない理由があり、それは自身の妹の目を引き換えに手に入れた「神々の義眼」についての知識と対応策を知りたいという内容であった。妹を犠牲にした彼を責めるライブラの組員だが、彼は突然現れた化け物に神々の義眼の取引を持ち掛けられて動けずにいるときに、そんな兄を助けようと妹自身が犠牲になると化け物と契約を交わしてしまったと話す。
自身に勇気が無いばかりに妹を犠牲してしまったレオナルドは卑怯者と自分を責めるが、ライブラのリーダーであるクラウスはそんな彼に話しかける。
「君は卑怯者ではない。なぜなら、 君はまだ諦めきれずにそこに立っているからだ。光に向かって一歩でも進もうとしている限り、人間の魂が真に敗北する事など断じて無い。」
妹と自身の境遇を諦めきれないレオナルドと、ヘルサレムズ・ロッドで暗躍するライブラの物語は、ここから始まるのであった…
感想
ヘルサレムズ・ロッドの丁度良い非日常感
本作の舞台であるヘルサレムズ・ロッドは、異界の空間をイメージしたデザイン性でありながら、どこか現代の街並みを感じられるような作りをしています。人外の生命体と隣を歩く人間、見たことないデザインの建物と見たことのあるビルが立ち並ぶ街並み、異界の食材を使った馴染みのある料理等、未知の物と馴染みのある物が混ざり合っていて非常に面白いです。
そして、未知でありながらも、どこか知っている馴染み感が丁度良くて、スラスラと情報が頭に入ってきて読みやすかったです。未知であったり新しい情報を頭に入れるとなると、作中で内容を使いまわして読者にインプットさせないと馴染めないのですが、本作では既に「知っているもの」と掛け合わせているので、そこまでせずとも情報が読み取りやすく、あまりの情報量に読むことを断念するということもありません。
未知という「非日常感」と、馴染みのある「日常間」の塩梅が取れている非常に興味深い作品です。
シリアスあり、笑いあり、泣き所ありの1話完結型
物語は基本1話完結型の物語を展開していて、話によってジャンルは様々です。腹を抱えて笑えるほどのコメディー的な内容もあれば、笑いごとではないシリアスな内容のものまでより取り見取りです。たまに複数の話をまたにかけた長編を出すこともありますが、数は少なめの印象です。
本作のような1話完結型のメリットは、話が伸びないので読者が気軽に読める点と、飽き性との相性の良さにあります。長編だと内容を詰め込んでより濃い物語を展開できる反面、話が伸びてしまって飽き性の方には見放されがちです。しかし、1話で話を区切ることで短期的に読むことができ、「一度読むのをやめてしまったから最初から読まないと分からない」なんてこともありません。
さらに1話数十ページの内容であるにも関わらず、中身が海外ドラマ並みに濃い本作は読み終わった後の満足感が凄まじいと共に、早く次の話が読みたいという要求が抑えられなくなります。それでいてジャンルも次から次へと変わるわけですから、飽きることもなく永遠に読むことが出来ます。
多様な意味で刺さる台詞の数々
作中のキャラクター達の放つ台詞がとにかく刺さります。それも色んな意味で刺さります。
あらすじでも紹介したライブラのリーダーであるクラウスの台詞「光に向かって一歩でも進もうとしている限り、人間の魂が真に敗北する事など断じて無い」もその一つです。まるで、読者の背中を押してくれているような内容に、初めて読んだときはグッと心に刺さりました。
このような応援系の台詞もありますが、痛いところをつかれるような内容のものもあります。敵討ちで強大な敵に立ち向かおうと一人で挑もうとする仲間を止めて、戦力差を考えろと促す彼らに対して放った台詞が、
「だからなんだ、相手によって怒り方変えんのかテメェらは」
衝撃でした。私自身、非常に弱い人間なので厄介ごとを何とかやり過ごそうとするタイプなのですが、いざ同じ状況になった時にそんな台詞を吐いて敵に立ち向かっていけるかと言われると間違いなく無理です。どうしても相手を見て対応を変えてしまう自信があります。情けないですけど…。そんな私をぶん殴るような衝撃が襲いました。あれから変われたかどうかわかりませんが、誰に対しても対応は変えずに付き合っていこうと思えるきっかけになってくれたと思います。
このように、様々な角度から読み手の心に刺してくる台詞が目白押しです。上記のもの以外にも単純にカッコいいものや理知的なもの、ちょっと深そうな内容のもの等もあるので、そういった台詞が好きな方には間違いなくオススメできる作品です。
まとめ
異界と現世の混じり合った摩訶不思議な舞台で繰り広げられるSFアクション「血界戦線」いかがでしたでしょうか。少しでも、ユニゾンスクエアガーデンさんのエンディング曲「シュガーソングとビターステップ」だけの作品ではないことが分かっていただけたのなら幸いです。
SFなのに、どこか馴染みのある風景とデザイン性を感じてしまう不思議な作風でありながら、内容も海外ドラマ並みに濃い1話完結型の物語を展開する本作が少しでも気になった方は、是非一度読んでみてください。もしかしたら、人生観の変わる台詞に出会えるかもしれませんよ。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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