(画像引用先:Amazon)
今回は、pixivで累計閲覧数750万越えのちょっと変わったダークラブコメディ「死にたがり少女と食人鬼さん」を紹介します。他で類を見ない珍しい作風をしている本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!
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作品
本作は元々pixivで公開されていた作品で、2014年に書籍化しました。作者は○はぎさんという方で、現在は○○○さんというアカウント名でpixivに作品を投稿されています。

書籍化を果たした後、単行本は4巻まで出版され、完結しています。その後、2020年に同作品と同じ世界を舞台に繰り広げられる「月光列車」という作品が書籍化しています。こちらの作品については下記よりご確認ください。
あらすじ
赤い瞳をした少女の名は白(ゆき)。彼女はその瞳が原因で周りから迫害されていたが、ある青年との出会いが彼女の人生を大きく変えることになる。
青年の名は色人(しきと)。肉や野菜等、人間が食べられるものを体が受けつけず、代わりに人肉を食べることで生きながらえてきた犯罪者である。彼は白の家族を襲い、白にも手をかけようとするが、自身を殺してくれとせがむ少女に一目惚れしてしまう。そして、食人鬼であり犯罪者の色人と、自身の死を望む白との奇妙な共同生活が幕を開ける。
果たして、この奇妙な関係の行きつく先にあるのは幸せか?それとも…
青年と少女が送るダークラブコメディーが、今、始まる…
感想
死にたがり少女×食人犯罪者
まず言わせていただきたいのが、本作が他では類を見ない内容のラブストーリーだということです。犯罪者×女性という内容であれば類似作がいくつかあるように思えますが、そういった作品と一線を画しています。
どういった点が違うのかといいますと、登場人物である食人鬼の色人の残虐性やサイコパス具合をこれでもかと描写しているにも関わらず、しっかりラブコメとして作品が成立している点です。多くの作品は「犯罪者」というレッテルを早く剝がし、恋愛やコメディーの要素を徐々に強めていく傾向にあるのですが、本作は最後までしっかり犯罪者です。自身の行いを悔いることもなく、改心することも全くありません。それでいてヒロインである少女と紡ぐラブストーリーと、間にちょこちょこ挟んでくるコメディー要素を邪魔することなく物語が進行するので、ラブコメとしてしっかり成立しています。犯罪者という負のアドバンテージを脱却させて得るカッコよさではなく、負の印象そのもので勝負するカッコよさが、この作品にはあります。
そして、作品の主役である2人も「食人鬼青年」と「赤い瞳の少女」という非常に濃い設定で、内容に負けず劣らずのキャラクター像になっています。この設定も他ではあまり見ない組み合わせで、新鮮さを感じられます。その点においても、他作品との比較が出来る珍しい作品だと個人的に思いました。
コマや絵の自然なタッチ
本作で一番最初に目につく特徴は、コマや絵の自然なタッチではないでしょうか。
例えると、「作品を描く工程のラフ画と線画の間」といった感じです。全体的に直線が少なく、人が描く自然なタッチをしています。コマの書き方も例外ではありません。コマというのは細いペンで直線を引いて作られるものが基本になりますが、本作ではサインペンのような少し太めのペンを使用しており、物差しで引いた直線ではなく「手」だけで書かれた線で作られています。
登場するキャラクターも線画一歩手前の状態という感じで、作者の描き方をダイレクトに感じさせてくれます。例えると、調理した野菜スープを飲むのではなく、野菜を素材そのままに食べているような感覚です。素材をダイレクトに味わうことが出来るので、「こんな感じで描いてるんだ」と作者の作風を身近に感じられます。
はじめはあまりの違いにビックリするかもしれませんが、読んでいると味わい深さを感じられて、私は作風そのものが好きになりました。これに関しては個人差があるので「皆が好きになる」とは言えませんが、漫画好きの方でちょっと変わった作品を見てみたいと考えている方にはささる作品だと思います。
主軸はダークな雰囲気をまとったストーリー
本作が恋愛要素とコメディーを兼ね備えたラブコメであるのは間違いないですが、主軸になるのは暗い雰囲気のストーリーです。
登場人物のほとんどが世にいう「犯罪者」で、白の周りでポップなコメディーをちょくちょくかましてくるのですが、その実態である「犯罪者」の部分もしっかり残っており、それなりの重い過去があります。そこもストーリーに関わってくるので、全体的に重い空気感が漂っているのです。
しかし、この重い空気感がマイナスに働くことはありません。むしろ、恋愛やコメディーの部分を際立たせてくれる重要な要素になっています。全体的に重い空気感があると記載しましたが、重い空気感が程よい具合に調整されているので、読んでいて気が沈むということもありません。「暗めな内容なんだな」と感じさせてくれる程度のものです。なので、そういった暗い話が好みでない方にも読んでいただます。
気になる点として、登場人物の病んでいる描写が全体的に黒く、視覚的な暗さと内容的な暗さが相まって病んだ描写のリアリティーさを感じてしまい、ちょっと暗い気持ちになることぐらいです。逆に言うと、読者にそこまで感じさせるほどの力がある作品ともいえます。体感したい方は是非読んでみてください。
まとめ
pixiv発信であまり類をみないダークラブコメディ作品「死にたがり少女と食人鬼さん」いかがでしたでしょうか。
本作は全体的に暗い雰囲気を放っている作品でありながら、ラブコメの明るい部分もしっかり描写されており、暗い話が苦手な方でも問題なく見ることが出来る作品になっています。そんな本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。
内容も素晴らしいですが、これから読まれる方は作者の絵とコマの書き方にも注目してみてください。作者の自然な描き方をダイレクトに感じられるので、個人的にオススメの読み方です。是非お試しください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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