(画像引用先:uzurea.net)
今回は、ザボーイズのスピンオフ作品であるジェン・ブイのシーズン2をレビューしていきます。完結したばかりのドラマですが、内容から感想までネタバレ多めでレビューしていますので、苦手な方はご注意ください。
※R18+の作品の為、視聴は18歳以上の方対象です。ご注意ください。
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ジェン・ブイとは?
本作はAmazonprime独占配信の海外ドラマ『ザ・ボーイズ』のスピンオフ作品です。
ザ・ボーイズは、大企業ヴォートに所属するヒーロー達とアンチヒーローグループであるボーイズとの戦いが描かれている作品です。
ジェン・ブイは、そんなヒーロー達の育成に特化したゴドルキン大学を舞台に、学生で能力者のマリーが、大学の裏で蠢く陰謀に巻き込まれていくという内容になります。
シーズン1では、大学で秘密裏に行われていた能力者抹殺計画が明るみになり、それを阻止するためにマリー達が奮闘するという内容でした。
そして、何とか阻止することに成功するマリー達でしたが、最後に作中最強の能力者である「ホームランダー」の襲撃を受け、主人公達の消息は分からなくなったところで幕を閉じます。
そんなシーズン1ですが、全体的な感想やあらすじは記事にまとめているので、よろしければそちらもご覧ください。

ジェン・ブイ シーズン2 レビュー
前半:新たな敵『デイン・サイファー』
前半はシーズン2の目的固めと、敵の明確化に使われているような印象を受けました。
まず、シーズン1で消息を絶っていたマリー達のその後が語られ、アンドレ以外のメンバーは色々あってゴドルキン大学に復学することになります。
そこで登場する新しい学部長のサイファーが秘密裏に計画しているオデッサ計画というものを知り、その計画を阻止しようとする流れです。
前のシーズンも同じような流れではありましたが、今回は計画を知ることになるまでに費やされたエピソードは僅か2話のみで、むしろ、サイファーが主人公達に知ってほしいと動いていた可能性を示唆するような含みのある内容でした。
そんなサイファーの考えていることが理解できず、とにかくミステリアスな雰囲気を漂わせていたのが印象的で、すぐに敵だと理解しやすかったのが良かったです。
敵が明確になれば主人公サイドの目的も理解しやすくなり、物語を読み解くのに大いに貢献してくれます。
サイファーの良さはそこだけでなく、ホームランダーのような無敵感のある立ち振る舞いや、何を考えているのか分からないサイコパス感がにじみ出ており、ヴィランとしてとても魅力のあるキャラクターになっているところも素晴らしかったです。
オデッサ計画が明かされた後も、全く動じることなくマリー達を翻弄していたところは、敵なのに清々しさすら感じてしまいました。
そんなサイファーの登場から作中での立ち位置を決める内容が、シーズン2の前半にあたります。
後半:ゴドルキン大学創設者『トーマス・ゴドルキン』
後半では、オデッサ計画を嗅ぎまわっていたマリー達がゴドルキン大学とエルマイラから逃走し、サイファーを倒す方法を模索していきます。
前半でサイファーが能力者であることが判明しましたが、それがどういった能力なのか分からない為、対処法が思いつかないという八方塞がりの状態です。
そんな彼らの前に現れたのは、ヴォートの元CEOであるスタン・エドガーでした。
彼いわく、オデッサ計画の要であるマリーがスタンの計画に協力するなら、逃走を手助けしてやるとのこと。
その話に乗り、スタンと共に隠れ家へ避難するのですが、そこでオデッサ計画の恐るべき全容を聞かされます。
さらに、サイファーの父親が大学創設者であるトーマス・ゴドルキンであることも判明し、彼がサイファーの家で囚われている可能性があると明かされます。
能力者の祖であるトーマス・ゴドルキンが生きていれば、あのホームランダーですら容易く倒せると語るスタンの言葉を聞き、マリーはサイファーと倒すために一人で戦地に向かおうとしますが…
大まかな流れはこんな感じです。ここにきて、まさかの大学創設者が関わってくるという予想の斜め上をいく展開を見せてくれます。
そして、この展開が原因で確立していたサイファーの立ち位置が大きく変わることになります。これが本当に予想がつかない内容で度肝を抜かれました。
ただ、ドラマを見返してみるとチラホラと伏線がはられており、この展開の為に物語を作ったのかと言わんばかりの脚本力に圧倒されます。
ここのネタバレは視聴に支障をきたす恐れがあるので伏せますが、もしドラマをこれから見始められる方がいらっしゃったら、どんな展開になるのか予想しながら見て下さい。
全体的な感想
本作はザ・ボーイズのシーズン5につながる重要な内容であると共に、スピンオフ作品であるジェン・ブイの完結を予期させる内容になっています。
ジェン・ブイの舞台であるゴドルキン大学とマリー達の関係性を断ち切るような物語。そして、ザ・ボーイズへつながることを予感させる驚きのラストシーン。
とても綺麗な完結のさせ方をしていたと思います。
そして、最後にアンドレの父親であるポラリティーがエマに語りかけるシーンは涙なしには見れない程感動的で、製作陣のアンドレとチャンス・パードモさんに対する愛を感じられる深いシーンになっています。
最後だけでなく、作中で「アンドレ」と名前を呼ぶシーンが数多くあり、作中のキャラクターにも製作陣にも愛されていることが見て取れます。追悼の気持ちがここまであらわになっている作品は初めて見たかもしれません。間違いなく良作です。
ここだけでも素晴らしい内容であることが分かりますが、他にも素晴らしい点があります。
それが、魅力的なヴィラン達です。
特に、物語の前半をかけて強さを視聴者に見せつけてくれただけでなく、その能力がどういったものなのかを悟らせないよう動いていたサイファーの魅力が尋常じゃないです。
ホームランダーとは違う怖さを持ったキャラクターでありながら、最後まで素性が分からないというミステリアスな一面も持ち合わせており、強さも申し分ないです。
最強の敵として、主人公の前に立ちはだかるポテンシャルを持った素晴らしいキャラクターだと思います。
後半ではトーマス・ゴドルキンの存在が起点となって、物語上での立ち位置が変わるところも良かったです。これには視聴していた私も全く予想できなくて、視聴していた時に「え⁉」と声を漏らしてしまう程の衝撃でした。
こういった視聴者を驚かせてくれる脚本力の高さが、ザボーイズやジェン・ブイの特徴でもあり、良い点なのだと思います。
ただ、物語序盤のマリーのキャラクター像が思っていたのと違うところは何とも言えないところです。
「エルマイラから皆で逃げ出そうとして、結果、マリーだけが逃げ出せた。」ならまだ分かるんですが、「エルマイラから一人で逃げ出して、その後は妹を探してました。」という身勝手なところに違和感を感じました。
物語の流れ的に「妹」という伏線を早く出したかったのは分かるのですが、こんな強引ではなく、会話の中で少し出てくる程度の自然な感じで出せていたら違和感もなかったともいます。
そこ以外については本当に面白い作品だと思ったので、完結感を漂わせるラストでしたが、できればシーズン3が出てくれることを願うばかりです。
まとめ
製作陣のキャラクターと役者への愛が垣間見られる良作ドラマ「ジェン・ブイ シーズン2」いかがでしたでしょうか。
登場するキャラクターだけでなく、俳優として、視聴者や製作陣にも愛されていることが見るだけで伝わってくる本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。
他にも、登場する魅力的なヴィラン達、視聴者を驚かせる高い脚本力等、良作であることを決定づける点がいくつもあります。
興味が少しでも沸いたら、是非シーズン1からご覧ください。もっと言うなら、ザ・ボーイズから見ていただくことを強くオススメします。
最後に、ここまで愛のある作品を制作いただいた製作陣に感謝の意を表明すると共に、アンドレ役のチャンス・パードモさんのご逝去の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。
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