(画像引用先:ORICON NEWS)
今回は、今年の8月に完結し、10年という連載期間に幕を下ろした大ヒット漫画「僕のヒーローアカデミア」の最新刊をレビューさせていただきます。最新刊かつ最終巻である本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!
※ネタバレを含む内容になっています。ご注意ください。
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あらすじ
AFO(オール・フォア・ワン)を打ち破り、ヴィラン連合を率いる死柄木弔(しがらきとむら)との戦いも終わりを迎えようとしていた。
戦場でヒーローとヴィランが次々と倒れていく中、死柄木と緑谷(みどりや)の戦いはさらに激化。しかし、死柄木の意識を乗っ取って復活を果たしたAFOの猛攻が緑谷を襲う。ワン・フォア・オールの力も限界寸前の中、緑谷は最後の攻撃を仕掛ける。
これまで紡いできた仲間たちの思いと共に、AFOに乗っ取られた死柄木に立ち向かう緑谷。果たして、死柄木に打ち勝ち、戦いに終止符を打つことが出来るのか。無個性の少年の憧れから始まった大ヒット漫画、堂々の完結。
「これは、僕が最高のヒーローになるまでの物語だ」
内容
死柄木VS緑谷 最後の戦い
AFOに意識を乗っ取られた死柄木の攻撃はすさまじく、身体の限界を超えた猛攻に押される緑谷でしたが、死柄木に渾身の一打を打ち込みます。
これまでの戦いで蓄積されたダメージもあってか、一打を受けた死柄木の体が崩れ始めますが、個性を使って無理矢理つなぎ止めます。もう一発入れようと身構える緑谷の前に、意識を取り戻した黒霧が立ちはだかり、個性「ワープ」を使って妨害を計ります。しかし、そこへ爆轟が現れ、黒霧のワープを自身の個性で爆破させることで妨害を阻止。弊害が無くなり、緑谷の一撃が死柄木に打ち込まれます。その瞬間、死柄木の意識の中で、AFOは緑谷によって呼び起こされた数々の人々の意識と共に消え去りました。
AFOから解放されて意識を繋ぎとめた死柄木でしたが、体は既に限界を迎えていた為に徐々に崩壊し始めます。そんな中、共に連合を率いてきたスピナーへの遺言を残し、この世を去るのでした。
戦いの後 エピローグ
ヴィラン連合との戦いが終わりを迎え、街は復興作業に取り掛かっていました。そんな中、雄英では戦いによって先送りにされていた卒業式が行われることに。緑谷達の先輩であるミリオやねじれ、たまき達を見送り、無事に卒業式を終えて2年生になる緑谷でしたが、クラスメートの青山が雄英を去ることになると本人から伝えれます。代わりに元B組の心操が編入し、盛り上がるA組一行でした。
その後、轟家は一命を取り留めたヴィラン連合の荼毘もとい轟燈矢と面会をすることになります。これからはお前を見続けると話すエンデヴァーや、好きな食べ物を純粋に知りたがる焦凍等、短い面会時間内で様々なことを伝えます。燈矢も思うことがあったのか、彼らの話に耳を傾け、少しですが意見するのでした。
それから8年、学生を卒業した緑谷達はそれぞれの道を進みはじめ、各々でヒーロー活動を続けていました。しかし、連合との戦いで能力を失った緑谷は、夢のヒーロではなく、母校である雄英高校で教師生活を送っていました。そんな彼の前に、自身の個性が弱くて悩んでいる一人の子供が現れ、こう言います。
「僕もあなたたちのようなヒーローになれますか」
そして答えます。
「君はヒーローになれるよ」
感想
死柄木と緑谷、最後の戦い
今回の単行本は、冒頭から既に最後の戦いが始まっており、読み始めから熱い内容になっています。
戦っている死柄木と緑谷は、互いに体の限界を通り越した中で戦っていることもあって既にボロボロの状態で、尚且つ意識を乗っ取られていたり、力を使い切っていたりと最悪の条件下で戦い続けています。その事情を知っている読者からすればカッコイイことこの上ないです。
カッコいいのは戦う姿だけでなく、戦いの中で描写される互いの掛け合いも非常にいいです。特に、意識を取り戻した死柄木と緑谷との会話は必見です。無駄な内容を省いて短い内容にまとめることで、時間があまりないことと互いに理解し合えたことを上手く表現できていました。後にページを数えてみましたが、たった3ページでまとめあげられていました。
個人的には2人とも好きなキャラクターだったので、互いに理解し合えた死柄木と緑谷の姿を長々と見せてほしいと願っていましたが、これはこれで非常に良かったと思います。「2人の間に長い会話は無用」という感じで、最後には分かり合えたと思える描写であることが伝わってきたからです。変わった考え方もしれませんが、私はそのように解釈しました。
そして、死柄木最後の遺言がスピナーに宛てたものであったことも良かったです。時には連合を共に率いてきた仲間として、時には同じゲームが大好きな友達として接してきた2人の間柄を見せてくれているようで、さすがに泣きそうになりました。もし、今までの環境が少しでも違っていたら、互いに幸せにすごせていたのかな…とか考えて勝手に目頭が熱くなりました。
後日談の内容の濃さ
冒頭の戦いはすぐに終わり、後は後日談が語られることになる42巻ですが、ほぼ9割が後日談で構成されていると言っても過言ではありません。それだけ作者が力を入れて作った内容になっています。
主な内容としては、①終戦後の雄英生徒達、②今回の戦いによる世の中への影響、③8年後のA組といった感じです。大きく3つに分けていますが、それぞれ細かな内容がいくつもあり、そのどれもが中々に濃い内容になっています。①では轟家と緑谷がそれぞれ燈矢とスピナーに面会しに行ったり、②では緑谷達の戦いを見ていた一般人の意識が変わったと思わせる描写があったり、③ではA組の皆がそれぞれどういった進路を進んだのかを見ることが出来ます。これらはほんの一部の内容で、他にも様々なエピソードが描かれており、ファン必見の内容になっています。私的には轟家と燈矢の面会シーンがオススメです。エンデヴァーの思いや燈矢の涙に、ただただ泣かされます。これまで本当に色々あった轟家でしたが、最終巻でやっと分かり合えたんだなと思える名シーンでした。
さらに、単行本限定で週刊少年ジャンプに載せていない38ページの描き下ろし漫画も収録されており、完結した430話のその先を知ることが出来ます。麗日とトガが好きな方は間違いなく読んだ方が良い内容になっているので、当てはまる方は是非読んでみてください。
僕のヒーローアカデミアという作品
ここからは本作の総評という形で記載させていただきますが、全体的に非常に少年漫画らしく、王道をいく面白さをもった作品だと思いました。
そして、現代において王道の作風で大ヒットした作品はあまり多くありません。そういった意味では、少年漫画にはない設定や作風を取り入れることなく、ジャンプ三原則である「友情・努力・勝利」を最後まで貫いた非常に稀有な作品と言えます。あまりに王道すぎると展開が読めてしまって読者に飽きられやすいという問題があるのに対し、最後まで読者を飽きさせることなく、作品の人気っぷりを10年間落とすこともなかった作品は中々ありません。それを成し遂げたのが、この「僕のヒーローアカデミア」なのです。
私は学生時代から単行本を集め始め、気がつけば大人になってましたが、最後までまったく飽きることなく読めました。それどころか映画も全部見に行ったりグッズを集めたりと、作品自体にドはまりした生涯忘れらない作品になりました。それだけ魅力を持った作品です。
最後に、本作を生み出してくれた堀越先生に感謝の言葉を送ります。先生のおかげで、ヒーローアカデミアに登場するキャラクターに出合うことが出来ました。そのキャラクター達に何度救われたか分かりません。特に、荼毘の台詞には何度も助けられました。「過去は消えない」。どれだけ繕うとも、その人の中で終わっていないのであれば消えることはないと教えてくれたから、周りの人に優しくしようと考えることが出来るようになりました。本当にありがとうございます。今は体をゆっくり休めてください。新しい作品が出たら是非読ませていただきます。
まとめ
王道展開の内容で多くの人々を魅了し話題になった大ヒット作最終巻「僕のヒーローアカデミア42巻」いかがでしたでしょうか。
10年という長い期間を経て、ついに完結を迎えることになった本作の魅力が少しでも伝わっていれば幸いです。最後の戦いとその後のエピローグを見事に描き切った、堀越先生の底力を是非その目で感じてみてください。
堀越先生、本当にお疲れさまでした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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