【最新映画レビュー】室井慎次 生き続ける者

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 (画像引用先:映画.com

今回は、踊るシリーズ最新作の後編「室井慎次 生き続ける者」を紹介します。10月に公開された前編から約一ヶ月、立て続けに公開された本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!

※前編含むネタバレを含む内容になっています。ご注意ください。

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作品

本作は今年の11月15日から公開されている作品で、監督は本広克之さんが務めています。前編である「室井慎次 敗れざる者」は本作公開の約一ヶ月前から上映が始まっており、現在も全国の映画館で公開中です。

キャストも踊るシリーズに馴染みのある方ばかりが出演されていて、大変豪華な内容になっています。また、新たに登場するキャラクターも負けておらず、小沢仁志さんや飯島直子さん、いしだあゆみさんといったはベテラン俳優陣で構成されています。

前編についても記事でまとめておりますので、よろしければそちらもご覧ください。

【最新映画レビュー】室井慎次 敗れざる者
今回は、先日公開されたばかりの踊るシリーズ最新作「室井慎次 敗れざる者」を紹介します。前作公開から約12年、ついに動き出した踊るプロジェクト最新作である本作の魅力について紹介しているので、気になる方は是非ご覧ください!

 

あらすじ※前編ネタバレ有

室井の家に突然やってきた謎の少女・杏の正体が、過去に湾岸署を危機に陥れた極悪人である日向真奈美の娘であることが判明。彼女を家に招き入れてから起こる不可思議なトラブルの数々に翻弄される室井達であったが、ある日、家の隣にある小屋で火災が発生し、小屋は完全に焼け落ちてしまう。何者かによる犯行と考えられ、設置されていた防犯カメラを見てみると、そこには事件発生前に小屋に入っていく杏の姿が映し出されていた。

小屋の事件があった後、室井と共に住んでいるリクの父親が、刑務所での刑期を終えてリクを引き取りに来ることになる。彼はリクへの暴力や育児放棄が理由で逮捕された過去があり、室井は本人と直接対面することになる。

身内の事件やトラブル、家の近くに捨てられていた死体の謎。様々な事件が室井に襲い掛かり、とうとう室井自身の体にも異変が起こり始め…

 

感想

室井慎次物語、ここに完結

既にご覧になられた方はご存知だと思われますが、今回で室井慎次の物語は完全に終わりを迎えます。とんでもない設定や伏線が無ければ、踊るシリーズに室井慎次という男が帰ってくることはないでしょう。そのレベルの内容なので、初めて見た時はビックリしました。

終わり方について追及するとネタバレになってしまうので控えますが、本作は物語の完結作としてふさわしい作りになっており、ファン必見の内容になっています。室井の多くは語らないスタイルを一貫しているところや、他の者に対して背中で語るところも描写されており、室井らしさを余すことなく映しているところが非常に良かったです。

室井の周りにいる人々も、主人公を引き立てる為に事件やトラブルを引き起こし、主人公を巻き込んで解決に向かわせるという流れを至るところで見ることができます。本作において、室井らしさを見せる為の手法として凄くハマっており、尚且つテンポ良く見れることが出来て、とにかく見やすかったです。事件もトラブルもあっという間に解決するので、難しいことも考えずにすみます。そういった意味では、サスペンスやミステリアスといった「考える内容」が苦手な方でも見れるようになっているので、踊るシリーズを知らない方もこの機会に是非ご覧ください。

話が逸れましたが、ここまで記載した通り、1人のキャラクターの焦点を当てて魅力を引き出す内容になっています。それでいてテンポ良く見れるので、物語に内容を詰め込みすぎて胃もたれするようなことなく、室井慎次というキャラクターの良さも伝わってくるという文句なしの構成になっています。このサッパリとした感じは、踊るシリーズを彷彿させているように感じられて滅茶苦茶懐かしかったです。

 

同時進行する登場人物達の物語

本作では、主人公である室井の周りにいる登場人物達にも物語があり、作品が進行すると共にそれぞれの物語も動き出します

中でも保護された子供達の物語は内容が濃く、本作のメインの話になっているといっても過言ではありません。前編では子供達の1人であるタカに焦点が当てられ、後編では杏とリクの物語が語られていました。それぞれ保護された過去があるだけに中々ヘビーな内容ではありましたが、そんな過去を抱えた子供達と向き合おうと奮闘する室井の姿を見て、色々と考えさせられるシーンでもありました。

過去との向き合い方や親の育児について、そして、生き続けることの意味。様々な問題に悪戦苦闘する中、室井が子供達や他の人々に語りかけるシーンでサブタイトルの伏線が回収されており、登場人物達の苦労を知っている視聴者が見るとグッとくるものがありました。これまで関わった事件を通じて感じたことや反省を活かし、子供達の成長につなげようとする室井の姿はまさに父親そのものでした

若い時はただ上の役職に上がることだけを考えて、事件の被害者のことをまったく考えていなかったあの室井が、事件にかかわる者の痛みを知り、保護された子供達を助けようと奮闘しているんです。あの頃からドラマを見ている人からすれば、泣かずにはいられません。本当に役を最後まで演じきった柳葉敏郎さんには感服します。

 

ラストシーン…※ネタバレ注意

※これまで好評なレビューを書かせていただきましたが、ここからは批評になりますのでご注意ください。

全体的に見れば本当に良かった作品であることは間違いないのですが、一点、どうしても納得できないシーンがありました。それは、エンドロール後のラストシーンです。こちらも詳しく記載してしまうとネタバレになるので、かいつまんで書かせていただきます。

それは、ラストシーンが室井慎次の物語が完結することよりも、次の作品への繋ぎという内容を伝えるために作られていたことです。ラストシーンで次回作の匂わせをすることは他の作品でもよく用いられてる手法ではありますが、完結作になるきっかけや理由に触れた上で視聴者に納得させるシーンを見せた後に流すことが多いです。そうすることで見終わった後の満足感や、完結作ということに対しての理解を得やすくしています。

しかし、本作には視聴者を納得させるほどのシーンは流れていませんでした。「知らないうちに完結してた」という感じです。それだけ印象が薄いです。そこから次回作への繋ぎのシーンに入るのですが、納得も何も理解すらできていない状況で流されても何も感じることが出来ませんでした。製作側の方達は、恐らくこうすればファンの人たちは興奮してくれるだろうと考えて作られたシーンなのだと思われますが、そうではないんです。個人的にはもう少し濃密に完結作であることを伝えた上で、次回作への伏線をはってほしかったと心から思いました。せっかくのラストシーンでサプライズがあるにもかかわらず、薄い終わり方に満足できないせいであまり印象に残らなかったのが非常に残念です。

ただ、見る方によっては良いシーンだと感じられ方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は是非コメントで教えて下さい。

 

まとめ

ラストシーンで賛否分かれそうな踊るシリーズスピンオフ作品「室井慎次 生き続ける者」いかがでしたでしょうか。

様々な事件やトラブルが発生する中で、主人公である室井の良さや魅力を存分に引き出し、テンポ良く進行する本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。

ただ、人によってはラストシーンに納得がいかないと感じられる方もいらっしゃると思われるので、視聴の際はそちらも覚悟のうえでご覧ください。

最後に、本作は踊るシリーズの1つの完結を告げる作品ですので、過去に公開されたドラマや映画は見た方が間違いなく楽しめます。まだご覧になられてない方は、そちらからご視聴することを強くオススメします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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