(画像引用先:スタジオジブリ)
今回は、定期的に見たくなる頃にテレビで放送されるジブリ作品の一つ「猫の恩返し」を紹介します。宮崎駿さんとはちょっと違ったテイストで物語が進行する本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!
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作品
本作は2002年に公開された作品で、監督は森田宏幸さん、企画は宮崎駿さんが務めました。
原作は柊あおいさんの「バロン 猫の男爵」(徳間書店刊)で、それを映像化したのが本作になります。
声の出演は池脇千鶴さんや袴田吉彦さん、前田亜季さんや山田孝之さんといった俳優や女優で構成されており、声の入れ方も非常に上手にこなされていました。
主題歌はつじあやのさんの「風になる」が使われており、毎年テレビで放送される度にエンドロールで流してほしいと視聴者から声があがる程に人気の曲でもあります。
上映時間は75分と長すぎず丁度よい構成になっているので、どなたでも見やすい作品になっています。
そのことが関係しているのか、見やすいゆえにテレビでよく放送される傾向があり、去年(2024年)は5月に放送されました。
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あらすじ
少しドジな女子高生のハルは、ひょんなことから一匹の猫を救い出したことをきっかけに、周りで不思議な出来事が起こるようになってしまう。
そして、救い出した猫が「猫の国」と呼ばれる王国の王子であることや、ハルがその王子の妃になるのだと、王国の王である猫王に告げられる。
あまりの出来事に混乱するハルだったが、突如、どこからか謎の声が聞こえてくる。
「猫の事務所を探して」
その言葉を頼りに、道中で出会った大きな猫・ムタの案内で進んだ先にあったのは、ミニチュアサイズの小さな事務所「猫の事務所」。
そこにいたのはオシャレな服に身を包んだバロンという名の猫で…
果たして、ハルは自身に降りかかる危機を乗り越えることは出来るのか?
猫の国をまたにかけるひと夏の冒険が、今幕をあげる。
感想
純粋なワクワクドキドキ冒険ファンタジー
本作は、宮崎駿さんの手掛ける作品とは少し異なり、純粋に冒険ファンタジーを楽しめる作品になっています。
宮崎駿さんと言えば、自然との共存を描いたもののけ姫、戦時中の人々の心情や情勢を描いた火垂るの墓等、メッセージ性の強い作品が多い印象があります。
しかし、本作にはそこまでのメッセージ性というものは無く、終始明るい雰囲気の冒険活劇を楽しめる構成になっており、大人から子供まで気軽に楽しむことが出来ます。
メッセージ性が強い作品というのは、それを読み取ることが出来る大人や青年にターゲットを絞るのに対し、メッセージ性の弱い作品は物語に深みはないものの、難しいことを考えなくてすむので子供でも視聴できるという利点があります。
このように、見る層を絞っているか絞っていないかの点から見ても、宮崎駿さんの作る作品とは少し異なる作品と言えるのではないでしょうか。
さらに、物語に深みこそ無いですが、それを補うだけの要素が豊富に詰め込まれています。
特に、主人公である女子高生ハルが、ごく一般的な女子高生生活から一転して猫の国という非日常空間へ誘われる過程そのものが「冒険」を予感させてワクワクさせてくれます。
そこから猫の国へ移動した後も、「どうやって元の場所へ帰るんだろう…」と視聴者をハラハラさせたり、バロンとハルの関係性にちょっとドキッとしたり、見ていて飽きません。
何より、そこにメッセージ性というものはほとんど無いので、ただ純粋にこの冒険活劇を楽しむことが出来るです。
強いて言うなら、「自分の時間を生きる」というメッセージがあるにはあるのですが、そこまで気にならない程度です。これについては最後の項目で記載させていただきます。
主人公ハルが可愛すぎる
本作に登場する主人公のハルがとにかく可愛すぎます。
ハルはザ・ドジっ子キャラといった感じで、何をしてもうまくいかず、映ればこけているようなキャラですが、そこはかとなく魅力を感じる仕様になっています。
この魅力の根本にあるのは、ドジっぽさとハルの性格が生むギャップです。
ただドジを踏むだけだと視聴者をイライラさせてしまうのですが、ハルは性格の良さや時折見せるしっかりとした面でギャップ生み、視聴者を惹きつけます。
ドジというマイナスな一面を見せて印象を下げてから、優しい性格や正直さというプラスの一面を見せて一気に印象をあげるを手法が素晴らしくハマったキャラでした。
それでいてバロンに赤面するような女の子らしい面も持ち合わせており、可愛さが渋滞しています。
最初は特に可愛いという印象は無いキャラでしたが、物語が進むにつれてキャラクターの魅力がどんどん引き出されていき、最後にはファンになってしまう。そんなキャラクターです。
ハル以外にも魅力的なキャラクターはいて、猫のバロンとムタ、ガーゴイル(カラス)のトト、ハルの友達等、個性豊かなキャラクターばかりです。
そして、彼らの存在がハルというキャラクターの魅力をより一層引き立てており、作中で唯一無二の存在まで押し上げています。
この魅力を味わいたい方は、是非本作を見てください。
自分の時間を生きる
本作はそこまでメッセージ性を感じない作品ではありますが、全くないわけではありません。
それは、「自分の時間を生きる」ということです。
物語冒頭でバロンの猫の国とはどんな場所なのかという問いに対し、ムタが「自分の時間を生きれない奴が行く場所」という答えを出すシーンがありました。
ここでいう「自分の時間を生きれない」というのはどういうことなのか。
それは、「他人の時間を生きている」ということなのではないかと、私は思います。
自分主体で物事を考えるのが苦手で、他人に依存し、意見も行動も全て他人にゆだねてしまう。いつしか、自分の人生というよりも他人主体の人生を生きている。
そんな生き方のことを言っているのではないでしょうか。
実際、ハルは相手が猫であれ人であれ、言われた意見に対して自分の答えが揺れ動いてしまったり、猫を助ける為に自身の危険を省みず道路に飛び込んだりと、自分主体で動いているようには思えない一面が多々ありました。
それに対し、作中で好き勝手にやっていたデブ猫のムタは、過去に自分の時間を生きれない猫の国で大暴れした挙句、勝手に国を出ていくことに成功しています。
この身勝手さも、言ってしまえば自分主体の行動です。これを成し遂げられるムタと、恐らく成し遂げられないであろうハルの対比が全てを物語っているように感じられます。
悪さをするのは良くないですが、自分主体に行動しないと自信を失ってしまい、他人頼りで自分の時間を生きれなくなってしまうというメッセージが込められた作品なのだと、私は思いました。
これは個人的な意見なので、もし本作を既に見られた方がいらっしゃっいましたら、どういったメッセージを感じ取れたか教えていただけると助かります。
まとめ
自分の時間を生きる秘訣を教えてくれるジブリ作品「猫の恩返し」いかがでしたでしょうか。
メッセージ性が弱いながらも、視聴の邪魔にならない程度に伝えてくれる本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。
他にも魅力的なキャラクターが多数登場したり、純粋に冒険ファンタジーを味わえたり、様々な魅力が詰まった作品になっていますので、是非ご家族でご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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