(画像引用先:双葉社)
今回は、以前紹介した「100日後に死ぬワニ」の続編である「100日後に死ぬ(×)ネズミ」を紹介します。衝撃の最終回から約4年、登場していたキャラクター達のその後の物語が描かれる本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!
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作品
本作は2024年8月21日からSNSで投稿されていた作品で、作者は前作から引き続ききくちゆうきさんです。今回はX(旧Twitter)のみならず、インスタグラムでも告知され、多くの反響呼びました。
SNSでの投稿が2024年の11月まで行われた後、12月に編集された単行本が全国で発売されています。単行本にはSNSには載せていない書下ろし4コマ漫画「センパイとワニ 17日間の恋人」が収録されており、特別感のある内容になっています。
物語は既に完結している本作ですが、きくちゆうきさんのXでは登場したキャラクター達のその後が映し出された絵が投稿されています。気になる方は実際に見てみてください。
あらすじ※前作のネタバレあり
ワニの友達であるネズミは、自身の仕事に打ち込む毎日を送っていたが、友達を亡くして落ち込んだ気持ちが晴れることはなかった。彼の周りにいるもう一人の友達のモグラや仕事の同僚であるウサギが励ますものの、亡くなった友達を差し置いて自分だけが幸せになることを恐れ、周りを拒絶してしまう。
一方、恋人を亡くしたワニのセンパイは、仕事中にちょっかいをかけてくる男性社員に頭を悩ませていた。恋人を忘れることができず、表では吹っ切れたようにふるまっているものの、家では思い出して泣く日々を過ごしている。そこへちょっかいをかけられたことで、さらにストレスを抱えることに。
果たして、大事な人を亡くしたネズミとセンパイは、それぞれの抱える悲しみを乗り越えることができるのか。前作のその後を描いた新たな100日間が、今始まる…

感想
衝撃の最終回後を描く物語
SNSで衝撃の最終回を迎えた「100日後に死ぬワニ」ですが、本作はその後日談にあたる作品となっており、前作を知っている方からすれば興味をそそれらる内容になっています。
前作では重要なところが描写されておらず、ワニの安否についても未確定なままでしたが、本作ではそのことについて追及されている内容になっており、読者が知りたかった真実を知ることのできる作品になっています。尚且つ、その真実に向き合うキャラクター達の葛藤や後日談が描かれているので、気になる内容ばかりが詰め込まれていて非常に興味をそそられます。
前作の最終回を見て、「ワニは死んだ」と自己完結していた方にとっても、何故続編が出ているんだと気になる要員になっているので、前作を読まれた方はこの機会に是非読んでみてください。
新キャラクターに関わる恐るべき伏線回収
今作では前作で登場したキャラクターが登場するのはもちろんのこと、新キャラクターも続々と登場し、それぞれが本作のなくてはならない存在として描かれています。
前作から続投している主人公のネズミ、友達のモグラ、ワニのセンパイ。新キャラクターは同僚のウサギ、ウサギの恋人のネコ、前作で少し登場していたヒツジ、ネズミの前に現れた親子。それぞれがしっかりと役割を持っており、それでいて物語の要になっているところが素晴らしいです。具体的に言うと、全員が重要人物といった感じです。
最初は「何の脈絡もない存在では?」と思うほどヌルっと登場する新キャラクター達でしたが、物語が進むにつれて伏線が回収され、全員が物語に深く関わっていたことに気づかされるのです。気づいた時の衝撃は凄まじいものでした。最初に登場したモブキャラが、まさかこんな形で関わってくるとは思いもよらないです。そういった点も楽しんでもらえると思うので、読むときは「このキャラクターはどんな形で関わってくるのか」を意識して読んでみるといいかもしれません。
大切な人を失った悲しみとの向き合い方
本作では誰もが経験するであろう「大切な人を失った時の悲しみ」に対する一つの向き合い方を教えてくれています。
本作主人公であるネズミが物語冒頭で友達を亡くしていることが判明し、以降の物語では悲しみを誰にも悟られないように振舞うネズミが描かれています。最初は問題なく過ごしていましたが、亡くなった友達を差し置いて自分だけが幸せになることを恐れ、自分を心配してくれる周りを遠ざけるようになります。
そんな時、職場に設置しているラジオから、とある言葉が流れてきます。
「一歩を踏み出せない弱さのある自分を認めることが、前に進むキッカケになったりするんじゃないでしょうか」
この言葉を聞いてすぐに、ネズミの気持ちが変わることはありませんでしたが、友達の死と向き合えない自分の弱さを認める大切さを知ったのはこの場面だと思います。最後には無事に向き合うことができたネズミが描写され、物語は完結します。
弱さを克服するのではなく、認めることで向き合う力を身に着けたネズミの姿に、私は悲しみとの向き合い方に対する一つの答えを見た気がしました。悲しいことは忘れたり、楽しい思い出で塗りつぶしたり、対処法は様々ですが、それは直接事実と向き合っているわけではなく、向き合う為の時間と力をつける為の時間稼ぎで、最後には向き合う必要があります。上記の言葉も最終的に向き合わせる為の手法ではありますが、他と違うのは自分の弱さを認めることです。無理に強くなる必要は無く、ただ、自身の弱い部分を認識し認めることで、前に一歩踏み出すことができるのです。
まとめ
悲しみとの向き合い方を教えてくれる名作「100日後に死ぬ(×)ネズミ」いかがでしたでしょうか。
SNSでカウントダウンシステムを取り入れたことで話題を呼んだ前作と同じシステムを使用し、生きる為に大切なことを教えてくれる本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。
つらい思いをしている方や、落ち込んでいる方には特に響く内容になっていると思うので、少し休む気持ちで本作を読んでみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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