【漫画紹介】黄昏乙女×アムネジア

漫画

(画像引用先:ガンガンJOKER

今回は、幽霊と記憶をテーマにした奇妙な作品「黄昏乙女×アムネジア」を紹介します。記憶喪失を繰り返す幽霊・夕子さんが登場する本作の魅力について記載していますので、気になる方は是非ご覧ください!

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作品

本作は2009年から「ガンガンJOKER」にて連載が始まった作品で、作者はめいびいさんです。

2012年にはアニメ化もしており、オープニングテーマにはANIMAX第5回全日本アニソングランプリ優勝者である鈴木このみさんのデビュー曲「CHOIR JAIL」が使われました。

その後、2013年に漫画は完結しており、単行本は10巻まで発売されています。

因みに、最終の集計は不明ですが、2010年時点のデータでは各巻で約8千枚から3万枚台の売上が確認されています。

完結してからしばらくした後、作者のめいびいさんは新作である「結婚指輪物語」の連載を開始。こちらもアニメ化を果たしています。

 

あらすじ

私立誠教学園。この学園にはいくつもの怪談が存在し、学園の七不思議として生徒達に知られていた。

そんな学園へ通う一年生・新山貞一は、慣れない校舎の移動中に旧校舎へ迷い込んでしまう。

旧校舎をさまよっていると、道中で一人の女生徒と出会うことになる。

彼女の名前は庚夕子。自身を旧校舎の幽霊だと言い張る変わった女生徒だ。

そんな彼女の案内の元、貞一は旧校舎を脱出して無事帰宅する。

翌日、新校舎で彼女を見かけて声をかける新谷だったが、一日中彼女につきまとわれることに。

綺麗な見た目の夕子につきまとわれてまんざらでもない新谷は、学園生活を彼女と共に過ごしていた最中、とある怪談を思い出す。

それは、「旧校舎をさまよう幽霊」の怪談である。内容は旧校舎で亡くなった女生徒の遺体が学園の地下に隠されており、今もなお、幽霊となって旧校舎をさまよっているというもの。

自身を旧校舎の幽霊と言い張る夕子の存在もあり、怪談のことが気になった新谷は、遺体が隠されていると噂されている場所へ向かうことに。そこで新谷が見たものは…

 

感想

記憶喪失と幽霊をテーマにしたミステリアスな作品

本作は他の学園ホラー系の作品とは違い、記憶喪失と幽霊をテーマにした目新しいミステリアスな作品です

よくある記憶喪失の物語は、登場する人間のキャラクターが記憶を失っていることが多いのですが、本作は登場する幽霊が記憶を失っています。

そして、その幽霊の過去を追求することを目的として、物語が進行していきます。

ここまでの内容で既に察しているかもしれませんが、ホラーというよりミステリー要素が強めの作品になっています。

伏線もいたるところに散りばめられており、読者に読みながら考察させる余地を作ってくれているところも、まさにミステリー作品といった感じでした。

さらに、伏線も全て綺麗に回収されるので、読み終わったときにモヤモヤすることもありません。難しい内容でも無いので、考察が不得意な方でも問題なく読んでいただけます。

ただ、ラブコメ要素も非常に強い作品なので、要所要所でジャンルが切り替わるところは慣れていないと疲れるかもしれません。

ジャンルが切り替わると、読み手も「ここからラブコメか」という認識を切り替える必要があり、実行しないと作品の見方が分からなくて内容が頭に入らなくなります。

「ジャンルを切り替える=読み手の認識を切り替える」という過程を何度もこなす必要があるので、頭が疲れやすいところが難点です。

しかし、後半になるにつれて伏線がどんどん明かされていき、ラブコメ要素も若干少なくなっていくので、疲れやすいのは最初だけです。

なので、これから読まれる方はそういった点も注意しながらお読みください。

 

幽霊より怖い人間の心理

本作では幽霊をテーマにしていますが、幽霊の存在自体を否定した考え方を一貫しています

端的に説明すると、作中で夕子さん以外の幽霊や呪いの類は全て人の思い込みによるものだと結論付けられているのです。

例えば、肝試しをしている時に人の気配を感じたり、おまじないをしてから体が軽くなったという話があったとします。

しかし、これら全てに科学的な根拠は無く、結局は人間の恐怖や思い込みによって生み出された副産物であるという考え方です。

本作ではそんな人間の思い込みに焦点を充て、幽霊以上に怖い人間の心理が描かれています。

呪われた自分を救うために誰かを犠牲にしようとしたり、厄災を収める為に人柱を使おうとしたり、とにかくむごいです。

ただ、読んでいると「これが人間なんだ…」と妙に納得してしまうのが非常に怖いところです。

未知のものに対する恐怖心を抑えたいが故に、神様や儀式といった根拠のない解決策に縋り付きたくなる心理は、まさに宗教そのものです。

そんな宗教を身近に感じている我々人間が、この心理を完全に否定することなどできるはずがありません。

話がそれましたが、作者はそういった人間の心理的要因によるトラブルを「幽霊」や「呪い」で片づけてしまう人間の方が遥かに怖いと語っているように思えました。

そういった作者の考え方も感じられる点も、この作品の良いところだと私は思います。

 

漫画版とアニメ版で変わる結末

作品がアニメ化をしていることは先の項目でお伝えしていましたが、実はそれぞれ違った結末を迎えています

まず、漫画の連載が2009年から2013年であるのに対し、アニメ版は2012年に完結していて、漫画よりも先に結末を迎えています。

通常であれば漫画の完結までの話はアニメ化せず、原作の途中までのお話で切ってしまうことがほとんどです。

しかし、本作のアニメ版はしっかり「完結」を描いており、それぞれのキャラクターの行く末を最後まで描き切っていました。

こうなると、後に完結する漫画も同じ締めくくり方をしそうなところですが、こちらはこちらで違った結末をしており、アニメの結末を見た後でも新鮮な気持ちで読むことが出来ます。

内容についてネタバレになるのでお伝え出来ませんが、正直、どちらも素晴らしい結末を迎えていたと思います。

特に、夕子さんと新谷のその後について描かれているところは共通で、2つの「その後」を見れる点はとにかく嬉しかったです。

「こんな完結」や「あんな完結」を見れるのですから、まるで二次創作を見ているような気分でした。

そんな気分を味わいたい方には、アニメ版の視聴もオススメさせていただきます。

原作を読み終わったら、是非こちらも視聴してみて下さい。

 

まとめ

異なった完結を2回味わうことの出来るミステリアスな作品「黄昏乙女×アムネジア」いかがでしたでしょうか。

アニメ版と漫画版で違った結末を迎えている本作の魅力が少しでも伝わっていると幸いです。

内容も非常にミステリアスでありながら、作者の考え方も伝わってくる程に濃い内容になっているので、読みごたえもあります。

人間の思い込みによる醜い心理を、これでもかと見事に描き切った作者のめいびいさんには脱帽せざるを得ません。

そんなめいびいさんですが、他にも「結婚指輪物語」等の作品を手掛けておられるので、気になる方は是非そちらも読んでみて下さい。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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